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誰にも教えたくないレコードを聴く

アマチュア・オーケストラでヴィオラを弾いています。 過ぎ去りし日、森の中でクナッパーツブッシュのブルックナーの「ロマンティック」交響曲を聴いてこの世界に入りました。一曲を徹底的に聴き比べます。


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マリア・カラス・コンプリート・ライヴ・オペラ・コレクション
第5巻は、「トロヴァトーレ」。
「トスカ」同様、ヒロインが権力者に言い寄られ、
身体を許すことを条件に恋人を救おうとする話。

このオペラの魅力は、何といっても、
5声部(ソプラノ、アルト、テノール、バリトン、バス)それぞれに
魅力的なベルカント・アリアがあって、出番のバランスもいいというところ。
加えて、適当に2重唱・3重唱も配されている。
また、管弦楽も良く歌い、激しく盛り上がる。
ということで、まずは5人の歌手が揃うことが重要で、
次に指揮の生命力が欠かせない。

これまでの愛聴盤は、
まずスタジオ録音、1956年カラヤン指揮のEMI盤。
カラス-バルビエリ-ディ・スティファノ-パネライ-ザッカリア
とキャストも強力で、カラスをはじめ皆吸引力のある歌を聴かせている。
ライヴでは、1941年カルージオ指揮のメト・ライヴ盤。
グレコ-カスターニャ-ビョルリンク-ヴァレンティーノ-モスコーナ
で、何といっても力と抒情を兼ね備えたビョルリンクが素晴らしい。
一気に聴かせる生々しい上演記録だ。

さあ、メキシコでのライヴはどうだろう。


ヴェルディ:歌劇「トロヴァトーレ」全曲
Leonora : Maria Callas
Manrico : Kurt Baum
Azucena : Giulietta Simionato
Il conte di Luna : Leonard Warren
Ferrando : Nicola Moscona
Ruiz : Carlos Sagarmínaga
Ines : Ana María Feuss
1950年6月20日
メキシコ、パラシオ・デ・ベラス・アルテス
グィド・ピッコ指揮


レオノーラを歌うカラスは強烈である。
若い時分にしか歌わなかった役だが、彼女に合った役柄だ。
1幕2場の出番から気合い充分、役が輝いている。
次第に速度が上がる中、装飾を小気味よく決めながら
テンションが上がっていき、聴いていてのけぞってしまう。

テナーとバリトンが、ノー天気に声を張り上げるタイプの歌手で、
カラスと釣り合わないが、その結果、重唱場面でもカラスの方が
引き立つことになっている。
3幕2場、カラスとバウムの2重唱が濃厚に進み、
テナー最大の聞かせどころ、「燃えさかるあの炎」がやってくる!
なかなかのハイテンションで興奮するが、
このアリアだけ34種集めたとんでもないCDがあって、
そんな歴代の猛者たちと比べると分が悪い。

バスのモスコーナは、ピンツァと比べてしまうとちょっと鈍いが、
なかなか良く、シミオナートのアズチェーナは異様なまでの迫力だ。

使用したLPはまたもや米HRE盤。
音は相変わらずダンゴになっているが、声は比較的キチンと聞こえる。

CDの発売状況は、
MELODRAM MEL26017 1988
MELODRAM GM2.0015-10 CD 1997
OPERA D’ORO OPD-1229 1999
MYTO 2 CD 002.H041 2000
FONO ENTERPRISE 1020.21 2001
ARKADIA 2CD GA2048 2001


マリア・カラス・コンプリート・ライヴ・オペラ・コレクション
第3巻は、3点Esで有名な「アイーダ」。
ユニークオペラ盤を聴いていた。
http://blogs.yahoo.co.jp/guuchokipanten/58318762.html


ヴェルディ:歌劇「アイーダ」全曲
Aida : Maria Callas
Radamès : Kurt Baum
Amneris : Giulietta Simionato
Amonasro : Robert Weede
Il re d’Egitto : Ignacio Ruffino
Ramfis : Nicola Moscona
Un messaggero : Carlos Sagarmínaga
Una sacerdotessa : Rosa Rodríguez
1950年5月30日
メキシコ、パラシオ・デ・ベラス・アルテス
グイド・ピッコ指揮


復刻に使ったのは、米HRE盤のようである。
心配したが、結構カッティングレヴェルの高い音で、
オケのフォルテはダンゴになるが、
声のパワーがよく伝わってくる。
カラスの3点Esの絶叫と聴衆の大騒ぎは、
オペラライヴの醍醐味極まれりだ。

CDの発売状況は、
MELODRAM MEL26009 1988
MELODRAM GM 2.0015-10CD 1997
MYTO 2 CD 002.H043 2000
IDIS 343/44 2000
FONO ENTERPRISE 1016.17 2001


マリア・カラス・コンプリート・ライヴ・オペラ・コレクション
第2巻からは、カラス自身が「山猫のような歌」と語った若いエネルギー全開の
メキシコ・ライヴが続く。
メキシコでは記録の保存にたいへん熱心で、
彼女が出演したほとんど全ての演目が残されているのでありがたい。
彼女の最も重要な役柄であるベッリーニの「ノルマ」を聴く。

「歌劇場のマリア・カラス」によれば、
この50年の「ノルマ」は腹だたしいほど音が悪く、
初期のプライヴェートLPは、
「トタン屋根を連打する豪雨のようなスクラッチ・ノイズの連続」
だということなので、覚悟して再生する。


ベッリーニ:歌劇「ノルマ」全曲
Norma : Maria Callas
Pollione : Kurt Baum
Adalgisa : Giulietta Simionato
Oroveso : Nicola Moscona
Clotilde : Concha de los Santos
Flavio : Carlos Sagarmínaga
1950年5月23日 
メキシコ、パラシオ・デ・ベラス・アルテス
グイド・ピッコ指揮


ジャケットから復刻に使ったレコードは米HRE盤と分かる。
音質的にはあまり期待できないレーベルだ。
恐る恐るプレイボタンを押すが、
「トタン屋根」のノイズはなく、ひと安心。
これは、高音をカットしてノイズを減らしているのでは、
と別の不安を感じながらカラスの登場を待つ。
商品化に際してノイズをカットすると、
真っ先に被害を被るのがカラスの声で、
痩せてキンキンする針金のような音になってしまうのだ。

威厳に満ちたノルマの登場シーン。
のちの強烈な名演には及ばないが、圧倒的な存在感である。
幸い、高音カットの被害もないようである。
第2幕のシミオナートとのひたひたと盛り上がる二重唱など、
カラスの登場シーンは存分に楽しむことができた。

音が急に弱くなったり、強音部分の音が割れたりするのが耳障りだが、
なかなか良好な復刻と言えるのではないか。

CDの発売状況は
MELODRAM MEL26018 1988
MELODRAM GM 2.0015-10CD 1997
URANIA URN 22.133 2000
MYTO 2 CD 002.H044 2000
FONO ENTERPRISE 1014.15 2001
MYTO 2 CD 00262 2010


マリア・カラス・コンプリート・ライヴ・オペラ・コレクション
全てコレクターのもっているLPからの復刻だとのこと。
カラスのライヴは、初めの海賊版LPが最もマシで、
後発のCDは劣化や加工、コピー、リバーブ等により落ちる、
というのが定説だけに、いったいどのLPを復刻に使ったのかが興味深い。
順番に少しずつ聴いていこう。
カラス最初の全曲録音、「ナブッコ」。



ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」全曲
Abigaille : Maria Callas
Nabucodonosor : Gino Bechi
Fenena : Amalia Pini
Ismaele : Gino Sinimberghi
Zaccaria :Luciano Neroni
Il gran sacerdote di Belo : Iginio Ricc醇q
Abdallo : Luciano della Pergola
Anna : Silvana Tenti
1949年12月20日 
ナポリ・サンカルロ劇場
ヴィットリオ・グイ指揮


写真で分かるように、使用したLPは、チェトラ。
最も音が良いとされる米ペンザンス盤を期待していただけに、
これはちょっと残念。聴いてみたが、自分が持っている
伊エストロ・アルモニコ盤LPの方が音に力があって生々しい。


聴きどころは、
まず第1部の3重唱。最後のグリッサンドが凄い。
第2部冒頭のアリアでは、彼女の魅力が全開となる。
第3部の2重唱も吸い込まれるような緊張感。
その直後の合唱は、聴衆の「ヴィーヴァ、イタリアーナ!」の叫びにより
中断され、場内騒然となる。

CDの発売状況は
MELODRAM MEL26029 1989
LEGENDARY LR-CD-1005-2 1990
ENTERPRISE LV944/45 1994
SAKKARIS PR.SR. 275/276 1997
MELODRAM GM2.0010 1997
URANIA URN 22.100 1999
HARDY CLASSIC HCA 6009-2 1999
CANALE RECORDS 539001/2
SAKKARIS SR.DIVA1129/1130 1999
ARCHIPEL ARPCD0001 2000
FONO ENTERPRISE 1033.34 2002
MYTO 2 CD 00222 2009


ヴィスコンティ演出の伝説の公演。
http://blogs.yahoo.co.jp/guuchokipanten/58063669.html
米MRF盤LPが届いた。

とくにカラスの声はCDで聴くよりずっと生き生きとしていてよく響く。
1幕最後の3点変ホの威力も凄い。

海賊盤なのにブックレットが充実していて、各幕ごとのカラスの写真が美しい。
トラディショナル・カットがところどころ入っていてスコアを見ながら聴くと、
あわててページをめくらなくてはならないのだが、
ディ・スティファノ、バスティアニーニ、ジュリーニと強力な共演者に恵まれ
すばらしい上演の記録である。