誰にも教えたくないレコードを聴く

アマチュア・オーケストラでヴィオラを弾いています。 過ぎ去りし日、森の中でクナッパーツブッシュのブルックナーの「ロマンティック」交響曲を聴いてこの世界に入りました。一曲を徹底的に聴き比べます。

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VOX PL6330 (LP)
Anton Bruckner
String Quintet in F major
1_Moderato
2_Scherzo, Trio
3_Adagio
4_Finale
Philharmonic String Quintet, Vienna

この曲は私の最も大切な曲のひとつ。

なんたって学生の頃、仲間内の室内楽演奏会用に「ブルックナー四重奏団」なるものを組織した
くらいですから。はじめてやったのはブルックナーの弦楽四重奏曲。こりゃあさすがのブルックナー
フリークも辟易するほどの地味な曲。

次がこのブルックナー弦楽五重奏曲ヘ長調の第3楽章アダージョ。
これは完全にブルックナーの最深部というか核心にふれた超傑作でして、
(たしか交響曲5番と6番の間の時期に書かれている)
5つの楽器がいずれも活躍するので、練習もとても楽しいものでした。
本番は志賀高原のホテルの広い部屋・・・
自然に囲まれてこれをやるのもまさにぴったりでした。
トレーナーの都響のヴィオラ奏者が、半分お世辞でしょうけど、
「こりゃあいい曲だねえ!」って言ってくれて嬉しかったのを覚えています。

随分時が経って再びこの五重奏曲をやる機会が。
今度は全ての楽章、おまけにインテルメッツォまでしっかり練習しました。
本番はとある小さな教会・・・
これまたブルックナーにはぴったりの環境!
結局、Mozartの五重奏(K515)やアヴェヴェルムコルプスなんかもやることに
なったので、前回同様3楽章アダージョのみとなりました。
その教会の方が熱心に耳を傾けてくれまして、
たくさん賞賛の言葉をいただけて、ありがたく思いました。

そんなわけで、いろいろな演奏を聴きたいわけでもありますが、
このLPは最も古い時代の演奏になります。
1930~40年代のウイーンフィルの主席級奏者を集めた団体のようですが、
名前が書いてないのでわからないのが残念。
このあまり有名なレパートリーとはいえない曲に対して、これだけ
自由に消化し尽くして弾くことができるなんてさすがです。
5人とも存在感のある音楽を奏でており、どの部分でも自分の出番がわかっている
という感じの生き生きとした重奏です。

1楽章では、「I」の前、vn2がテンポを緩めていってvn1がad libitumを8分音符4つずつ
じっくり歌うところが印象的。「M」の前のvaのテンポの落とし方もいい感じです。
2楽章ではちょっと問題が・・・「C」のひとつ前、一小節まるまる休みのいわゆる
「ブルックナー休止」なんですが、なんと!チェロが2小節分8分音符を弾いているんです!
この曲に別の版があるなんて聞いたことないですが、これはいけません。
美しい3楽章は、たいへんゆっくり悲劇的色彩を帯びて始まります。
ヴィオラが2人とも素晴らしく、「A」からのva2のぞくぞくする弾き方、そして、
それに続く全曲の白眉「B」Lang gezogenのva1。伴奏の8分音符はppでva1のソロはpなので
少し大きめに弾くのは当然ですが、ただ良く聞こえるだけでなく、伴奏者を付き従えて
音符ひとつひとつじっくり聴かせていきます。テンポの動きも絶妙!
その他、ほんとにブルックナーらしい「H」もvn1をはじめとしてさりげなくポルタメントが
そこここに聴かれたいへん神秘的な雰囲気。そのあと「K」の前4小説間のfffはかなりテンポが
速いのに「K」のppでガクッと減速するのが凄いです。
4楽章。「A」からのクサビ型アクセントが弱められ普通のアクセント程度に弾かれるのが
むかしのウイーンらしさでしょうか。「B」のなんとなくぎくしゃくして歌いにくい
メロディもvaが実に良く歌います。末尾の「R」はffを強調した速く強い音楽となり、
力強く曲を閉じます。

この曲の演奏史中、もっとも自由度の高いものといえるでしょう。

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