誰にも教えたくないレコードを聴く

アマチュア・オーケストラでヴィオラを弾いています。 過ぎ去りし日、森の中でクナッパーツブッシュのブルックナーの「ロマンティック」交響曲を聴いてこの世界に入りました。一曲を徹底的に聴き比べます。

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マリア・カラス・コンプリート・ライヴ・オペラ・コレクション
第4巻は「トスカ」。
彼女が最も役に同化しやすかったキャラクターで、
キャリアの終わりまで歌い続けた役柄だが、
歌の魅力や技術面ではさほど重要視していなかったようだ。
この最も初期のメキシコでの記録は、
低調な出来具合で共演者・指揮者も酷いということで
評判が良くない。
途中で音が途切れてしまう箇所があるのが問題とされてもいる。


プッチーニ:歌劇「トスカ」全曲
Floria Tosca : Maria Callas
Mario Cavaradossi : Mario Filippeschi
Il barone Scarpia : Robert Weede
Cesare Angelotti : Gilberto Cerda
Il sagrestano : Francisco Alonso
Spoletta : Carlos Sagarmínaga
Sciarrone : Francisco Alonso
Un pastore : Concha de los Santos
Un carceriere : Manuel Carreño
1950年6月8日
メキシコ、パラシオ・デ・ベラス・アルテス
ウンベルト・ムニャーイ指揮


復刻に使ったLPは、米HRE盤。
これまた恐る恐る再生ボタンを押すが、まあ聴ける音である。
メキシコライヴとHRE盤は相性がいいようである。見直した。
音の途切れはよく分からなかった。

「トスカ」を全部聴くのは久しぶりである。
囚人との恋に始まり、スカルピアとの長い対決、
尋問への葛藤、殺害の決意、恋人との自由への希望、
そして絶望と、主人公トスカの変化はまことにドラマティックである。

トスカその人となり、そうした変化を見事に演じ切り歌いきったカラスだが、
ここでは、やはり、部分部分で存在感を示すに留まっている。
中では、第1幕のカヴァラドッシとの愛情シーンが濃くていい。
カヴァラドッシ役のテナーは、高音の伸びとパワーで有名なフィリッペスキ。
この役としてはなにか元気過ぎるし、泣きの演技が白けるところもあるが、
ノー天気ともいえる声の威力と伸びで、さほど変化の無いこの役柄としては
いいのではないかと思う。

カラスの活躍する第2幕。
ターニングポイントとなる歌詞への敏感な対応は後年に及ばず、
ヴィーデの深みの無いスカルピアとのやり取りもあまり緊迫感が
感じられない。
指揮のムニャーイは、「半シロート」「歌の後から追いかけて指揮する」など、
ボロクソに言われている恐怖の指揮者だが、
一応曲を通しているし、歌を立てて振ってはいる。
オペラの全曲指揮は、歌手が勝手放題に歌うこの時代にあっては
さぞかし大変だったことだろう。
カラスの歌うアリア、「歌に生き恋に生き」はいつもの素晴らしいカラスで、
かなり長い拍手で演奏が中断している。

第3幕、カヴァラドッシのアリア「星は光りぬ」の後の拍手はそれ以上で、
オケが続きを演奏し始めた途端、アンコールを求める聴衆の拍手が再び起こり、
演奏が中断して、「星は光りぬ」がフリッペスキによってもう一度歌われる。
オペラが大衆芸能だった時代のライヴならではのドキュメンタリーだ。
後半の声の威力は見事だが、前半部分の抒情的な部分にコクがなく、
それほど素晴らしい歌唱とも思えないが、きっと、このアリアを目当てに
聴きに来ている人がほとんどだったのだろう。
2度目は幾分早めにあっさりと歌われるが、泣きの表情は2度目も入れている。

翌々年の再演では、テナーにディ・ステファノを得て、
カラス自身の出来も良いと聞くので、楽しみである。

CDの発売状況は、
LEGATO SRO-820-2
MELODRAM CDM 36032 1992
MELODRAM GM2.0015-10 CD 1997
MYTO 2 CD 002.H042 2000
FONO ENTERPRISE 1018.19 2001
ARKADIA 2CD GA2047 2001

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