誰にも教えたくないレコードを聴く

アマチュア・オーケストラでヴィオラを弾いています。 過ぎ去りし日、森の中でクナッパーツブッシュのブルックナーの「ロマンティック」交響曲を聴いてこの世界に入りました。一曲を徹底的に聴き比べます。

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シーボム嬢の声を日々聴いてきたが、「さすらう若人の歌」のLPを除けば、
オペラの海賊録音ばかりで、痒いところに手が届かないというか、
恋人が側にいるのに近寄れない、
という思いがあったものだ。

この思いを吹き飛ばす会心のCDを聴く。
曲目を見て驚いた。
あの「さすらう若人の歌」が入っているのだ!
オペラものでは、イタリアもの、ドイツもの、フランスものが楽しめ、
あとがドイツのリート。
シーボム嬢の全てがここにあると言って良いだろう。

録音年代も素晴らしい。
まずは、1945年のRCAヴィクターのセッション。なんとシーボム27歳。
20代の声でメインレパートリーのヴァーグナーが聴ける。
ヴォルフの歌曲は1948年のRCAヴィクターのセッション。ちょうど30歳だ。
1950年、32歳のHMVでのセッションがヴェルディとサン・サーンス、そして、
マーラーだ。


Preiser 89559

BLANCHE THEBOM (born 1918)

[ 1]”Don Carlo” : Nei giardin del bello Saracin(Verdi)
[ 2]”Don Carlo” : O don fatale(Verdi)
[ 3]”La Gioconda” : Voce di donna(Ponchielli)
[ 4]”Tristan und Isolde” : Einsam wachend(Wagner)
[ 5]”Das Rheingold” : Weiche, wotan, weiche!(Wagner)
[ 6]”Die Walküre” : So ist es denn aus mit den ewigen Gottern(Wagner)
[ 7]”Götterdämmerung” : Seit er von dir geschieden(Wagner)
[ 8]”Samson et Dalila” : Printemps qui commence(Saint-Saens)
[ 9]”Samson et Dalila” : Mon Cœur s’ouvre à ta voix(Saint-Saens)

Lieder eines fahrenden Gesellen(Mahler)
[10]Wenn mein Schatz Hochzeit macht
[11]Ging heut’ Morgen über’s Feld
[12]Ich hab’ ein glühend Messer in meiner Brust
[13]Die zwei blauen Augen von meinem Schatz

Song of Hugo Wolf
[14]Auf einer Wanderung
[15]Verschwiegene Liebe
[16]Verschling der Abgrund
[17]Um Mitternacht
[18]Elfenlied
[19]Schlafendes Jesukind
[20]Auf dem grunen Balkon

London Symphony Orchestra cond. by Warwick Braithwaite (1,2,8,9) 1950
RCA Victor Orchestra cond. by Frieder Weissmann (3,4,5,6,7) 1945
Orchestra cond. by Adrian Boult (10,11,12,13) 1950
William Hughes (piano, 14-20) 1948


まずは、ヴェルディの「ドン・カルロ」から。美貌と嫉妬がキーワードのエボリ公女、
第2幕の「ヴェールの歌」に続いて、第4幕の大アリア「むごい運命よ」で、
全音域にわたってコントロールされたシーボムの美声を楽しむ。
「むごい運命よ」の後半の独白部分の集中力、緊迫した感情表現は見事だ。

ヴェリズモ・オペラの先駆け、ポンキエッリの「ジョコンダ」のメゾ役、ラウラ。
愛する人と駆け落ちをするとても素敵な女性キャラクターだ。
第2幕、聖母像に祈りを捧げる「水夫の星」、シーボムの音の持続が敬虔な音楽をつくっている。

ここからは、いよいよ得意のヴァーグナー。
「トリスタンとイゾルデ」の「ブランゲーネの警告」。オケも艶めかしい音を出してシーボムを迎える。
実況録音では歌詞が聴き取れないことが多いが、ここでは全てがはっきり聴き取れる。
「ラインの黄金」は、フリッカではなく、エルダ役の「避けよウォータン」。低声ながら伸びがあって艶もある。
ここから2曲が最高で、「ヴァルキューレ」のフリッカ役と「神々の黄昏」のヴァルトラウテの大アリア。
管弦楽部分にも、重要なライトモチーフが頻発し、劇的なところだ。
シーボムの歌は、周囲の空気を変える力をもっている。音域の上下が実にスムーズで、全ての音に
人間女性らしい魂がこもっている。劇場では、オケの大音量に対抗して叫んでしまう歌手が多いが、
セッション録音だけに全くの余裕で、微妙な余韻までしっかり楽しめる。

次は、フランスのグランド・オペラ、「サムソンとダリラ」のダリラ役。
第1幕の官能的な誘惑の歌「春はめざめて」と、
第2幕の、これまた優美で官能的な「あなたの声に心は開く」。
ここでも、シーボムの歌は聞き手を引き込む力を発揮している。

マーラーとヴォルフの歌曲は、LPで聴いていたもの。
「さすらう若人の歌」では、これ以上の演奏に出会っていない。

今年一番の宝物的CDだ!

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