誰にも教えたくないレコードを聴く

アマチュア・オーケストラでヴィオラを弾いています。 過ぎ去りし日、森の中でクナッパーツブッシュのブルックナーの「ロマンティック」交響曲を聴いてこの世界に入りました。一曲を徹底的に聴き比べます。

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ブルックナーの第4交響曲の楽譜を整理すると概ね次のようになるようだ。

○まず、1874年(50歳)に完成されたこの曲の初めの姿が、「第1稿」
なので、「1874年版」とも言われ、国際ブルックナー協会のノヴァークによって1975年に
「ノヴァーク版Ⅳ/1」として出版された。第3楽章など以降の稿・版とは全く別の曲である。
前年にバイロイトでヴァーグナーに会い、第3交響曲を献呈し、ウイーンのヴァーグナー協会に入会している。
また、第2交響曲が万博終了コンサートで演奏され好評を得たそうだ。(ニキシュがヴァイオリンパートにいた!)

○次に、第5交響曲を完成した後の、1878年(54歳)~1880年(56歳)にかけて改訂されたのが、「第2稿」
この間、フィナーレは2つの稿が作られ、1~3楽章は1878年のもの、4楽章は1880年のもの、
という形でできあがった。そのため、「1878/80年版」とも言われる。現在、演奏されるのはこの形であり、後述の第3稿と比較し、第3者の手が入っていないオリジナルだということで、「原典版」とも言われている。ブルックナーの遺志に従い、現在オーストリア国立図書館の音楽部門に保管されている資料番号「Mus.Hs.19.476」がその姿である。この時期、あの名曲、弦楽五重奏曲や第6、第7交響曲が書かれ、大変充実した時期であったことが想像できる。

これに基づき、国際ブルックナー協会が出版した楽譜が、「国際ブルックナー協会版」なのだが、
これには新旧2種類がある。
戦前、1936年に、ナチスの国策と結びつく形でハースによって編纂されたのが、「第1次批判全集版」=「ハース版」である。ハースは1944年に再販しており、この再販版が現在「ハース版」と呼ばれるものである。この再販にあたって、3楽章トリオのメロディがフルートからオーボエに移され、その根拠が未だ不明なことが問題になっている。ハース版信奉者のブルックナー指揮者=ギュンター・ヴァントなど、このトリオは1936年版に従ってフルートで吹かせている。
のちに出版されて「ドーヴァー版」として手に入ることになる。

ハースのあとを継いで、戦後、1953年にノヴァークによって編纂されたのが、「第2次批判全集版」=「ノヴァーク版」である。「ノーヴァク版」という表記もあるが、"Novak"は「ノヴァーク」とするのが正しいようだ。日本では出版社の名前から「音友版」という言われ方もされる。この版の問題は、1886年のザイドルによるアメリカ演奏のための「ニューヨーク稿」を使用して作られているため、演奏効果を考えて楽器や表情記号の追加が行われていることである。また、1楽章397小節のチェロの音が間違っている(AなのにF)というミスが指摘されている。

○そして、1889年(65歳)、ウイーンのグートマン社からの出版にあたって、弟子のレーヴェが改訂したものが、「第3稿」
出版はこれが最初であり、その後50年近くはこの形のみで知られ有名になったため、「初版」と言われる。ヴァーグナー風のオーケストレーション(ヴァイオリンを木管に変えるなど)や3・4楽章の大幅なカットにより現在では「コレは改竄だ」という声をよく聞く。原典版が知られるようになってからは、「改訂版」、「レーヴェ改訂版」とも呼ばれる。出版社の名をとって、「ヴェース版」、「レートリッヒ版」、「オイレンブルク版」ということもある。近年、再評価され、国際ブルックナー協会から、「Ⅳ/3」、「コースヴェット版」として出版された。

○また、マーラーが演奏にあたって、上記の第3稿をさらに短縮、手を加えたのが、「マーラー版」である。ロジェストヴェンスキーのCDで聴ける。

実際の演奏現場では、指揮者の意向や楽団の伝統的なパート譜などにより、原典版である第2稿をもとに
第3稿の一部を採り入れた演奏がよくなされ、この場合、「リミックス版」だと言われることも。「宇野版」は、宇野氏が演奏した解釈のことを指す。


ZYX CLS4335
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(第2稿ハース版)
(17:00/16:30/10:39/19:00)
ハインリヒ・ホルライザー指揮バンベルク交響楽団
1960年


最近聴いた中ではピカイチの名演奏。
渋いが冴えない、というイメージをもっていたバンベルク響が実に覇気のある生きたサウンドを聴かせる。弦楽器の音がとにかくリアルにとらえられている。
ホルライザーは、ライトナー、ローター、シュタイン、スイトナーと並ぶ本物の音楽を聴かせるドイツの名指揮者で好きだ。5人ともヴァーグナー演奏が得意で、ホルライザーは来日公演で「トリスタンとイゾルデ」を振ったのをみたことがある。
ここにはドイツの森がある。
次々と各ブロックが役割を果たしていき、楽器間のバランスも下が豊かなピラミッド型で理想的。
ノヴァーク版のテンポ変化や楽器追加の悪影響はほとんどなく、ブルックナーらしい”逍遙”の歩みが心をうつ。

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