誰にも教えたくないレコードを聴く

アマチュア・オーケストラでヴィオラを弾いています。 過ぎ去りし日、森の中でクナッパーツブッシュのブルックナーの「ロマンティック」交響曲を聴いてこの世界に入りました。一曲を徹底的に聴き比べます。

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『そんなにブルックナーはよいか?』
「そう、ブルックナーは本当に素晴らしい。」
(吉田秀和「ブルックナー『第九交響曲』」より)
ブルックナーについて書かれた文章で、これほど率直で腰の据わったものを他に知らないが、
ブルックナーの良さってなんだろう。

その1:ブルックナーの作品は時代を超越している!

作曲家は、依頼主の注文に応えたり、同時代の聴衆をターゲットにして曲を書き、
また、その時代の世情や他の芸術・文化の影響を受けるものだが、
ブルックナーは全くそれらの外に立っている。
ベートーヴェンが、後期の四重奏曲をヴァイオリン奏者に「これは音楽じゃない」と酷評されて、
「これは今の時代のための音楽ではなくて、未来のための音楽なのだ。」と答えたことを思い出すが、
ブルックナーの場合、もうはじめから時代を超えている。
そのため、当時のウイーンで彼の曲が受け入れられるはずもなく、度重なる改訂作業が行われることになる。

形式面でベートーヴェンの、和声や時間感覚でヴァーグナーの影響は受けているが、
表現されているものは完全にブルックナーのオリジナルで、特定の時代や聴衆、革命などの政治状況に左右されることはない。時空を超えてどこで鳴り響いてもブルックナーの音楽は素晴らしい。
こういう人って他にはいない。

ブルックナーの場合、最も感動的なときには、オーケストラの存在を忘れたい。
ヴァイオリンがうまいとか、金管が凄い音を出しているとか、指揮者の解釈がおもしろいとか、
そういうことは似つかわしくない。
CDでも、ライヴ録音ではオケの存在が耳につき興を殺ぐことが多く、聴衆不在のスタジオ録音の方が良い場合が多い。
マタチッチやチェリの演奏会でぶっ飛んだ経験はあるものの、本当に体全体が金縛りにあうような
感動は、演奏会場の外にあった。
夜半の高速道路を一人眺めながらヘッドフォンで聴いた、ヨッフム/ドレスデンの第7交響曲、
飛騨山脈をドライヴしながらカーステで聴いた、ケンペ/ミュンヘンの第5交響曲、
山中で聴いた、クナ/ウイーンフィルの第4交響曲のアンダンテ・クワジ・アレグレット。

面白いCDを聴く。

ヴェネチア CDVE04271(2CD)
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(第3稿レーヴェ版を改変したマーラー版)
(18:46/9:15/7:46/13:34)
+交響曲第3番ニ短調~第2楽章(1876年版、アダージョ第2稿)
+交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」~第4楽章(1878年版、フィナーレ第2稿)
+交響曲第9番ニ短調~第4楽章(1986年、サマーレ&マッツカによる補作版)
ソビエト国防文化省交響楽団
ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー指揮


エンターティメント男=ロジェヴェンがブルックナーの珍しいスコアを音にした。
最も短縮されたスコアである「マーラー版」は、タイコのクレッシェンドなどが特異で、
3楽章後半は、バッサリ切り落とされている。
1878年のフィナーレは、金子氏の本で冒頭の楽譜を見てはいたが、これも初めて耳にする。
ピチカートではじまる妙な開始からいつもの聞き慣れた荘重な主題につながるのが異様。
全体に厳かな部分と暢気な部分が入り交じり落ち着かない。
2年後のスコアの洗練された美しさを再確認させられた。
金管がロシアっぽく金属的だが、弦はとても美しく、ブルックナーへの敬意・愛情も感じられる
誠実な演奏で好感が持てる。
3番のアダージョ2稿は、第1主題の三現でヴァーグナー「タンホイザー」の巡礼の動機が
鳴り響く最高の音楽!素晴らしい。

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