誰にも教えたくないレコードを聴く

アマチュア・オーケストラでヴィオラを弾いています。 過ぎ去りし日、森の中でクナッパーツブッシュのブルックナーの「ロマンティック」交響曲を聴いてこの世界に入りました。一曲を徹底的に聴き比べます。

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映画をみる。
大藪春彦原作、松田優作主演の映画『野獣死すべし』だ。
松田優作氏はこの映画のために奥歯を抜き8kg減量して、戦場カメラマンあがりの異常なキャラクターを演じた。印象深いシーンの連続で本当に凄い映画だ。一時は随分言動に影響を受けた。

さて、作品中、
○ショスタコの第5交響曲
○ショパンの第1ピアノ協奏曲
○アルビノーニのアダージョ
○ベートヴェンの皇帝協奏曲
などが重要な場面で使われるが、今回みてある詩に惹かれた。
松田優作が娼婦と部屋を共にするシーンで朗読されるのだ。


『漂泊者の歌』 萩原朔太郎

日は断崖の上に登り
憂ひは陸橋の下を低く歩めり。
無限に遠き空の彼方
続ける鉄路の柵の背後(うしろ)に
一つの寂しき影は漂ふ。

ああ汝 漂泊者!
過去より来りて未来を過ぎ
久遠の郷愁を追ひ行くもの。
いかなれば蹌爾として
時計の如くに憂ひ歩むぞ。
石もて蛇を殺すごとく
一つの輪廻を断絶して
意志なき寂寥を踏み切れかし。

ああ 悪魔よりも孤独にして
汝は氷霜の冬に耐えたるかな!
かつて何物をも信ずることなく
汝の信ずるところに憤怒を知れり。
かつて欲情の否定を知らず
汝の欲情するものを弾劾せり。
いかなればまた愁ひ疲れて
やさしく抱かれ接吻(きす)する者の家に帰らん。
かつて何物をも汝は愛せず
何物もまたかつて汝を愛せざるべし。

ああ汝 寂寥の人
悲しき落日の坂を登りて
意志なき断崖を漂泊(さまよ)ひ行けど
いづこに家郷はあらざるべし。
汝の家郷は有らざるべし!


「一つの輪廻を断絶して
意志なき寂寥を踏み切れかし。」・・・ここがこの映画のテーマであり、私の心を捉えるところだ。

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