誰にも教えたくないレコードを聴く

アマチュア・オーケストラでヴィオラを弾いています。 過ぎ去りし日、森の中でクナッパーツブッシュのブルックナーの「ロマンティック」交響曲を聴いてこの世界に入りました。一曲を徹底的に聴き比べます。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


来年(2009)はフランツ・ヨーゼフ・ハイドンの没後200年のメモリアルだ。
オラトリオ「天地創造」を聴く。

ハイドンが英国滞在中、ヘンデルの「メサイア」にインスパイアされ、ザロモンに依頼されて書いた曲だ。
「旧約聖書」の「創世記」第1章とミルトンの「失楽園」を元にして書かれた英語台本を
ゴットフリート・ヴァン・スヴィーテン男爵がドイツ語に訳したものに作曲された。


プライザー90104(2×CD)
ハイドン:オラトリオ「天地創造」
トルーデ・アイッパーレ(ガブリエル、エヴァ)
ゲオルグ・ハン(ラファエル、アダム)
ユリウス・パツァーク(ウリエル)
ウイーン国立歌劇場管弦楽団、合唱団
クレメンス・クラウス指揮
1943.3.28


重厚かつ迫真の名演奏。
第1曲の混沌からとても古典派の曲とは思えないほどの魂のこもった響き。
そして、バリトンのハンの入り。・・・「はじめに神は天と地を創られた」
なんという滋味深い、ぞくぞくする声!
ハンス・ザックスをはじめ、あらゆるドイツのバス=バリトン役で、
深くそれでいて明快で運動神経の良い歌の楽しさを感じさせるゲオルグ・ハン。
第3曲「神は大空を造り」、第6曲「泡立つ波をとどろかせて」も最高だ。
オラトリオ独特の長く続く装飾音符も余裕のブレスで見事。

そして、おまちかね、アイッパーレ嬢のアリアがやってくる。
録音当時35歳の全盛期。「タンホイザー」のエリーザベトではまって以来いろいろと
追いかけているが、この曲で出会えて本当に良かった。
第8曲「いまや野は爽やかな緑をさしいだして」
どの音符も非常に美しく、全音域にわたって安定した声質、音への入り方や余韻も素晴らしい。
休符や装飾音を含む長い装飾フレーズが特にひきたっている。

テノールはウイーンの人気者、ユリウス・パツァーク。
サロメとか大地の歌とか退廃的な役はよいが、ここではいささか脳天気な声である。

この当時の録音は、歌が前面に出ており、全ての歌詞が明瞭に聴き取れて良い。
実演では、やはり歌に注意を傾けるわけだから。
時は先の大戦の真っ最中。
きっとナチスの国威高揚のための収録だったのだろう。
戦争のための技術開発のおかげで録音技術もこの数年で飛躍的に進歩している。

ウイーンフィルもナチスのオーストリア併合(1938年)以来、多くの団員が去り、
独特のサウンドを失ってしまった。
録音で聴いても、1937年あたりから音にうるおいがなくなっていくのがよく分かる。
もっと第1ヴァイオリンに自在な歌があればと、それが残念だが、
この曲はウイーンフィルの持ち曲。隅々まで血の通った堂に入った演奏になっている。

関連記事
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック URL
http://knapper2.blog.fc2.com/tb.php/159-d95818a3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。