誰にも教えたくないレコードを聴く

アマチュア・オーケストラでヴィオラを弾いています。 過ぎ去りし日、森の中でクナッパーツブッシュのブルックナーの「ロマンティック」交響曲を聴いてこの世界に入りました。一曲を徹底的に聴き比べます。

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巨星、Dietrich Fischer-Dieskau氏がついにこの世を去りました。
死を悼んで、彼の残したヴァーグナーを聴きます。




Angel RL-32024
Fischer Dieskau sings Wagner
“Die Fliegende Hollander ” Die Frist ist um (act1) 
“Parsifal” Nein! Lasst ihn unenthullt!(act1)
-ja, Wehe! Wehe!(act3)
“Die Walkure”-Wotan’s Farewell(act3) ヴォータンの告別
Bavarian Radio Symphony Orchestra
Rafael Kubelik
Munich, 19-21 June 1977


すでに押しも押されぬ大ベテランになってからのレコーディングです。
幽霊船の船長、オランダ人が歌う1曲目「期限は切れた」、
傷ついた王、アンフォルタスが聖堂で歌う
1幕の「ならぬ!覆いはそのままに!」と
3幕の「そう、あわれ!あわれ!」、
そして、娘を罰せねばならない父、ヴォータンが歌う「告別」と、
ヴァーグナー・バリトン役の魅力が詰まったレコードです。

役柄をしっかりと感じさせ、メッセージをしっかり伝えながらも、
決して乱れたり激しすぎたりしないF=Dのヴァーグナーは、
他では聴けないものです。

振り返って見ると、ヴァーグナーの主要10作品全ての全曲盤に記録が残っています。

「さまよえるオランダ人」(オランダ人)
・1960年ベルリン国立歌劇場(コンヴィチュニー指揮)ETERNA EMI
「タンホイザー」(ヴォルフラム)
・1949年ベルリン国立歌劇場(ルートヴィヒ指揮)ライヴ
・1954年バイロイト祝祭劇場(カイルベルト指揮)ライヴ
・1955年バイロイト祝祭劇場(クリュイタンス指揮)ライヴ
・1960年ベルリン国立歌劇場(コンヴィチュニー指揮)ETERNA EMI
・1961年バイロイト祝祭劇場(サヴァリッシュ指揮)ライヴ
・1968年ベルリンドイツオペラ(ゲルデス指揮)DGG
「ローエングリン」(テルラムント)
・1964年ウイーンフィル(ケンペ指揮)EMI
・1954年バイロイト祝祭劇場(ヨッフム指揮)ライヴ(軍令使役)
・1985年ウイーンフィル(ショルティ指揮)DECCA(軍令使役)
「トリスタンとイゾルデ」(クルヴェナール)
・1952年フィルハーモニア管(フルトヴェングラー指揮)HMV
・1980年ドレスデン国立歌劇場(C・クライバー指揮)ETERNA DGG
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(ハンス・ザックス)
・1975年ベルリンドイツオペラ(ヨッフム指揮)DGG
・1956年バイロイト祝祭劇場(クリュイタンス指揮)ライヴ(コートナー役)
「ラインの黄金」(ヴォータン)
・1966年ベルリンフィル(カラヤン指揮)DGG
・1967年ベルリンフィル(カラヤン指揮)ライヴ
「ヴァルキューレ」(ヴォータン)
・1966年ベルリンフィル(カラヤン指揮)DGG
・1967年ベルリンフィル(カラヤン指揮)ライヴ
「ジークフリート」(さすらい人)
・1966年ベルリンフィル(カラヤン指揮)DGG
・1967年ベルリンフィル(カラヤン指揮)ライヴ
「神々の黄昏」(グンター)
・1964年ウイーンフィル(ショルティ指揮)DECCA
「パルジファル」(アンフォルタス)
・1956年バイロイト祝祭劇場(クナッパーツブッシュ指揮)ライヴ
・1971年ウイーンフィル(ショルティ指揮)DECCA

どの曲も、最高と言える世紀の名盤に顔を出していることがわかります。
特にヴォルフラムは傑出しています。
ご冥福をお祈りします。
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マリア・カラス・コンプリート・ライヴ・オペラ・コレクション
第7巻は、いよいよ「パルジファル」だ。

キャリアの初め、クンドリーやイゾルデ、ブリュンヒルデを歌っていたマリア・カラス。
イタリア国内向け放送用録音で「パルジファル」全曲が残されている。

この演奏に対する評価はまちまちで、我が国では、「論外」「ゲテモノ」「ローカル」
というように評価が低い傾向にあり、それに対して海外では、
「音さえよければ最も推奨できる」など高い評価をよく目にする。

評価が低い理由は、
・伊語歌唱であり、イタリア国内向けラジオ用の演奏であること。
・放送局の録音とはいえ、録音が古くて、現代の鑑賞には耐えられないこと。
・指揮やオケに正統的なヴァーグナー演奏の土台がなく、せっかちなテンポであること。
・カラス以外の共演者、特にタイトルロールを歌うテナーが酷いこと。
である。

しかしながら、若きカラスの激情むき出しのクンドリーはそれら全てを吹き飛ばす
価値があり、少しでも音の良いディスクを探し出すことになる。


ヴァーグナー:舞台神聖祭典劇「パルジファル」全曲
Kundry : Maria Callas
Parsifal : Africo Baldelli
Gurnemanz : Boris Christoff
Amfortas : Rolando Panerai
Titurel : Dimitri Lopatto
Klingsor : Giuseppe Modesti
Gralsritter : Aldo Bertocci, Mario Frosini
Knappen : Silvana Tenti, Mitì Truccato Pace, Franco Baldaccini, Aldo Bertocci
Zaubermädchen : Lina Pagliughi, Renata Broilo, Anna Maria Canali,
Liliana Rossi, Silvana Tenti, Mitì Truccato Pac
1950年11月20-21日
(Act I broadcast 11/20; Acts II, III broadcast 11/21)
RAIローマ放送交響楽団
ヴィットリオ・グイ指揮


カラスのクンドリーは何度聴いてもやはり空前絶後である。
この演奏の最大の問題は伊語歌唱であることだが、
カラスに関しては言語を超えた表現だと言える。
むしろ、伊語ならではの艶かしさというべきか。

独墺系の指揮とは全く違って、
アウフタクトのタメがなく、スイスイと音楽が進んで行き、
舞台神聖祭典劇としては荘重さや敬虔さが感じられないが、
性愛を扱ったドラマと捉えればこのようなノリの演奏もありだと思う。

共演者は、パルジファルを歌うバルデッリがよく言われるように
過剰なヴィヴィラートと怪しげな音程で、声にも魅力がなく大きな失点。
「愚か者」の役柄として寛大な心で聴くしかない。
おかげで第2幕のカラスとの長大なやりとりは、
カラスばかりが圧倒的に引き立つことになる。

一方、ロシア語ふうのクリストフ、役にあったパネライ、悪魔的なモデスティと
低音男声3人はなかなか個性的で声もよく、楽しめる。

これまで持っていた、チェトラの、ノイズをカットしたCDと比べると、
冒頭からヒスノイズが聞こえ、声へのダメージが少ない。
使用したLPは、伊フォイヤー盤で、以前自分でも持っていたものであった。

現在は、声がとても良く聴き取れるMCW盤LP(画像:下)を大切に聴いている。
第2幕、"Parsifal!"以下のカラスの熱唱が十分に伝わってくる。
初版とおぼしき、FWR盤もぜひ聴いてみたい。
評価はさておき、この「パルジファル」が残されていることは
本当にありがたいことである。

LPの発売状況は、
FWR FWR648(4LPs)1966
MCW MCW101(4LPs)
ESTRO ARMONICO EA55(4LPs)
FOYER FO1002(4LPs)1981
Fonit Cetra LAR41(4LPs)1984

CDの発売状況は、
MELODRAM MEL36041 1987
VIRTUOSO 2699232 1989
VERONA 27085/87 1990
NUOVA FONIT CETRA CDAR 2020 1994
NUOVA FONIT CETRA CDO 125 1997
HOMMAGE 7001843-HOM 1999
OPERA D’ORO OPD 1236 2000


死の前年まで聖地バイロイトで「パルジファル」を振り続けた
クナッパーツブッシュ。

モノラル1951年(Decca)とステレオ1962年(Philips)の
2組の素晴らしい音質のレコードが作られ、これはもう宝物である。

伊Melodram社が1960年の記録をLPで発売し、
放送音源を聴ける時代に突入した。
同社「ノイ・バイロイト」シリーズで、
1956/1958/1960(再発)/1964年が聴けるようになった。
(1954年の一部が別のオペラの余白に収録されていた。)

CD時代になって、さらに、
1952・1954・1959・1961・1963年の記録が
なかなか良い音で聴けるようになり、
壮年期から晩年にかけての上演を追体験できるようになった。
最近、メードル氏の所蔵音源から1957年もCD化された。
1953年はバイロイトに出演していないので、
残すは1955年のみとなった。


伊Golden Melodram GM1.0051
ヴァーグナー:「パルジファル」全曲
ジョージ・ロンドン(アンフォルタス)
ルートヴィヒ・ウエーバー(グルネマンツ)
ヴォルフガング・ヴィントガッセン(パルジファル)
ヘルマン・ウーデ(クリングゾル)
マルタ・メードル(クンドリー)
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮
1952年 バイロイト音楽祭実況


若きメードルのクンドリーを始め、
歌のエネルギーがたいへんなものである。
後年キャスティングがいろいろと変更になるが、
これがベストキャストといえるのではないか。
クナが振るバイロイトのオケも、
低音が充実した深々としたサウンドを最後まで聴かせる。
あまりにも堂々とした後年のものより、
劇の進行や主題に合わせた抉りが効いている。
集中力が最後まで持続しており、
高音弦が輝く「聖金曜日の音楽」から終幕にかけての美しさもかけがえがない。


1日1幕、ようやく観終わった。
それにしても、ひ孫のカテリーナの舞台はショッキングだ。

第3幕は本当に凄い。
ザックスがエヴァに靴を履かせ、俄かに欲情し、
禁断の恋が語られるシーン、音楽も詞も一段と盛り上がる。
やたらと煙草をふかすザックスだが、
これも詞にその根拠があるのだった。

最高の名場面、五重唱は、2つの大きな額縁が現れ、
2組の家族賛歌となる。

群衆総出のヨハネ祭の場面は、何か他にやりようはないものかと薄々思っていたが、
想像もつかないシュールな演出。

美術とのコラボで、土の中から全裸の男女が現れるベックメッサーの歌に
箱庭を観ながらギリシャ神話の男女が踊るシュトルツィングの優勝歌。

最後のザックスによるドイツ賛歌は、全くの孤独な世界で、
説得されるはずのシュトルツィングはもはや出てこない!
ライトが消えて幕となる。

人物の存在意義と行動を掘り下げた面白い舞台だった。

ついに実現したバイロイト音楽祭のTV生放送!!
初めてFM放送で耳にしたのが1978年(シュタインの「パルジファル」)、
初めて現地に行ったのが1985年。
ずっと夢見ていた企画だった。


8月21日(土) 午後10時50分~午前5時10分
プレミアムシアター
特集バイロイト音楽祭2010から楽劇「ワルキューレ」(ワーグナー)
世界初のテレビ生放送
【出演】
(ジークムント) ヨハン・ボータ
(フンディング) ヨン・クワンチュル
(ウォータン) アルベルト・ドーメン
(ジークリンデ) エディット・ハラー
(ブリュンヒルデ) リンダ・ワトソン
(フリッカ) 藤村実穂子
ほか
【演奏】管弦楽:バイロイト祝祭管弦楽団
【指揮】クリスティアン・ティーレマン
【装置】フランク・フィリップ・シュロスマン
【演出】タンクレート・ドルスト
収録:2010年8月21日(土)
バイロイト祝祭劇場(ドイツ)


8月23日(月)【22日(日)深夜】 午前0時40分~5時
プレミアムシアター
バイロイト音楽祭2009 楽劇「トリスタンとイゾルデ」(ワーグナー)
【Bモード・ステレオ】
【出演】
(トリスタン)ロバート・ディーン・スミス
(国王マルケ)ローベルト・ホル
(イゾルデ)イレーネ・テオリン
(クルヴェナール)ユッカ・ラシライネン
(メロート)ラルフ・ルーカス
(ブランゲーネ)ミシェル・ブリート
(牧童)アルノルト・ベゾイエン
(かじとり)マーティン・スネル
(若い水夫)クレメンス・ビーバー

【合唱】バイロイト祝祭合唱団
【管弦楽】バイロイト祝祭管弦楽団
【指揮】ペーター・シュナイダー
【演出】クリストフ・マルターラー

収録:2009年8月
バイロイト祝祭劇場(ドイツ)


8月20日(金) 午後24時20分~午前5時10分
プレミアムシアター
特集バイロイト音楽祭2010から楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
(ワーグナー)
(第1幕:1時間25分21秒)
(第2幕:1時間00分39秒)
(第3幕:2時間01分04秒)
【出演】
ハンス・ザックス(くつ屋)…(バス)フランツ・ハヴラタ
ファイト・ポーグナー(金細工師)…(バス)アルトゥール・コルン
クンツ・フォーゲルゲザンク(毛皮屋)…(テノール)チャールズ・リード
コンラート・ナハティガル(ブリキ屋)…(バス)ライナー・ツァウン
ジクストゥス・ベックメッサー(市役所の書記)…(バス)ミヒャエル・フォレ
フリッツ・コートナー(パン屋)…(バス)マルクス・アイヒェ
バルタザール・ツォルン(すず細工師)…(テノール)エドワード・ランダル
ウルリヒ・アイスリンガー(香料商人)…(テノール)ハンス・ユルゲン・ラザール
アウクスティン・モーザー(仕立て屋)…(テノール)シュテファン・クニスプル・ハイバッハ
ヘルマン・オルテル(せっけん屋)…(バス)マーティン・スネル
ハンス・シュワルツ(くつ下屋)…(バス)アンドレアス・マッコ
ハンス・フォルツ(銅細工師)…(バス)ディオゲネス・ランデス
ワルター・フォン・シュトルチング(フランケン地方出身の若い騎士)…
(テノール)クラウス・フロリアン・フォークト
ダーヴィット(ザックスの徒弟)…(テノール)ノルベルト・エルンスト
エヴァ(ポーグナーの娘)…(ソプラノ)ミヒャエラ・カウネ
マグダレーネ(エヴァのうば)…(メゾ・ソプラノ)カローラ・グーバー
夜警…(バス)フリーデマン・レーリヒ
(合唱)バイロイト祝祭合唱団
(管弦楽)バイロイト祝祭管弦楽団
(指揮)セバスティアン・ヴァイグレ
~ドイツ・バイロイト祝祭劇場で録画~
<2008/7/27>
【演出】カタリーナ・ワーグナー               
【字幕】北川千香子                     
~United Motion KG           
        All rights reserved制作~


2008年の「マイスタージンガー」、第1幕をみる。
物議を醸したカタリーナの演出、
裸足でラフな格好のザックスは、煙草をふかしたり斜に構えたりしているが、
表情は芸術と人間を愛するマイスターそのもの。
シュトルチングの所作はあまりにも粗暴で眉をひそめてしまう場面が多く、
ここまでやると、エヴァへの愛などセリフが白々しく聞こえてしまう。
エヴァもこの演出だと気品が感じられず、
歌合戦で皆が取り合う素敵な娘、というふうにはとても思えない。
ただ、芸術と民衆、伝統(規則)と革新、人間と自然、など、
ワーグナーが提起している問題点についてじっくり想いを馳せることはできた。

ヴァイグレの指揮は初登場時の前年に比べて、意図的に重くたっぷりとした響きを
作っているように感じた。もっと弾んでほしい個所が多く、キレもあまりない。

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